住宅ローンは、家を購入するにあたって便利な手段ですが、知識や情報が不足していると失敗してしまうケースもあります。金融機関に任せるだけではなく、自身でも基礎知識を身につけることで、よりよい選択ができるでしょう。
しかし「初めての住宅ローンで、何から調べればいいかわからない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。この記事では、住宅ローンを利用する際に気を付けるべき注意点について解説します。住宅ローンについて悩みがある方は、ぜひ参考にしてください。
金利の種類を把握する
住宅ローンを利用する際、重要なポイントのひとつが金利です。金利の選択によって、毎月の返済額や返済計画に大きな影響が出てきます。そこで、まずは金利の種類を把握することが重要です。
住宅ローンの金利は、大きく3つに分けられます。
・固定金利型
・固定期間選択型
・変動金利型
それぞれを詳しく見ていきましょう。
固定金利型
固定金利型は、住宅ローンの金利が借入時から完済までの間、一定の金利で固定される金利タイプです。市場金利幅が変動しても支払う金利が変動しないため、毎月の返済額が一定な点が特徴です。借り手にとっては、返済計画を立てやすく、予算管理もしやすいというメリットがあるでしょう。
しかし、金利が固定されているため、金利が下落していてもその恩恵を受けることはできません。また、変動金利型と比較すると少し高めに金利が設定されています。
固定期間選択型
固定期間選択型は、最初に金利の固定期間を選択できる金利タイプです。たとえば、3年や10年、15年などの期間を選び、選択した固定期間が終了すると、その時点での金利にもとづいて変動型となるか、再度固定期間を選択することも可能です。
固定期間中は金利が固定されているため返済額が安定しますが、将来の金利状況によっては返済額が増加する可能性もあります。
変動金利型
変動金利型は、市場金利などの動きに連動して金利が変化する金利タイプです。金利は通常、半年ごとに見直しが行われます。仮に半年後に基準となる金利が上昇していれば、それに連動して金利も上昇します。
しかし、金利上昇にともない利息が上昇しても、毎月の返済額がすぐに変わるわけではありません。一般的な元利均等返済の場合では、毎月の返済額は一定であり、金利変動による影響は5年ごとに再評価されます。支払う利息が増える分、元金返済の割合が減少することで返済額が一定を保たれます。
そのため、変動金利型は金利が低下すれば返済額が軽減される一方、金利が上昇すれば返済額が増える可能性もあるでしょう。
ランニングコストを意識する
住宅ローンの返済計画を立てる際には、返済以外の維持費やランニングコストも考慮することが重要です。たとえば、家などの不動産取得にあたって、各種税金の支払いが必要です。
・不動産取得税
・固定資産税
・都市計画税など
取得時だけの支払いで済む税金もありますが、固定資産税などは毎年支払う必要があるため、返済計画に入れる必要があります。
マンションの場合は管理費なども必要
マンションや共同住宅の場合、管理組合に対して管理費を支払う必要があります。たとえば、管理費は共用施設の維持や管理、清掃などに充てられる費用です。管理費の金額は物件や施設の規模によって異なるため、具体的な金額を確認する必要があります。
ほかにも、車や自転車を所有している場合は、駐車場代や駐輪場代などがかかります。毎月支払う必要があるお金として予算管理しておきましょう。
光熱費が上がる可能性がある
住宅の設備や暖房・冷房の利用状況によって光熱費が上がる可能性があります。近年、光熱費の高騰が家計に与える影響も大きくなっています。東京都を例に挙げると、電気代が家計を占める割合は2006年の2.6%から2022年では4.0%まで上昇しています。
たとえば、光熱費が1万円の家庭と2万円の家庭では、年間支出が12万円増加する計算です。住宅購入にともない、導入した設備や家の広さによっては光熱費が増える可能性があることも覚えておきましょう。
住宅ローンには諸費用がかかる
住宅ローンでマイホームを手に入れる際には、手数料や税金などの諸費用が発生します。諸費用は、大きく2つに分けられます。
・不動産購入に関わる費用
・住宅ローン契約に関わる費用
これらを含めると、一時的に支払う必要がある金額はかなり大きくなります。住宅ローン利用時には、諸費用も考慮に入れることが重要です。なお、諸費用によっては金利に上乗せされているケースもあり、その場合は、別途支払う必要はありません。
不動産購入に関する諸費用
不動産購入の意思を示すために支払う頭金や手付金など、購入するにあたっても費用が発生します。ローン返済が安くなるからといって頭金をたくさん入れる方も多いですが、その後の生活が苦しくなってしまっては意味がありません。不動産購入にかかる諸費用を考慮して、住宅ローンを利用しましょう。
不動産購入に関する諸費用例は、以下の通りです。
・申込証拠金
・手付金
・不動産登記を代行する司法書士への報酬
・印紙税
・登録免許税
・不動産取得税
・修繕積立金
・管理準備金
また、新築マンション購入の場合は、入居時にまとまった金額を支払うケースも多いので、忘れないようにしましょう。
住宅ローン契約に関する諸費用
住宅ローンを契約するにも、別途諸費用が必要です。たとえば、事務手数料は住宅ローンの契約手続きにともなって金融機関が負担する業務上の費用です。契約書の作成や審査手続きなどに関連して発生します。
住宅ローン契約に関する諸費用例は、以下の通りです。
・事務手数料
・ローン保証料
・火災保険料
・抵当権設定登記のための司法書士への報酬
・印紙税
・登録免許税
住宅ローン契約に関する諸費用は、住宅ローンの契約をする際に金融機関などに支払われる費用であり、支払う金額も利用する金融機関によって異なります。契約前に詳細を確認するとよいでしょう。
現状の金利で判断しない
住宅ローンを組む場合、金利はなるべく低いほうがいいと考えるのが一般的でしょう。そのため、全期間固定型や固定期間選択型よりも変動型を選択する人のほうが多く、その割合は住宅ローン対象者の約7割以上です。
しかし、変動型の場合、金利が上がるに比例して返済額は増えていきます。住宅ローンの金利は、景気の見込みや政府の金融政策などの要素によって変動します。超低金利時代に慣れてしまった現在でも、将来の金利上昇に備えて注意が必要です。
現状の金利
住宅ローンの金利は、景気の見込みや政府の金融政策などの要素によって変動します。住宅ローンを契約する際には、現在の金利だけで判断するのはやめましょう。
現在は日銀による金融緩和策によって「超低金利時代」といわれており、依然として変動金利型は低い水準を維持しています。2023年9月のデータによると全期間固定型(3年)の金利は年3.220%、固定期間選択型(10年)は、年3.740%で推移しています。変動金利型では2009年から低い水準を維持し、2年2.475%です。
しかし、アメリカやイギリスなどの先進国は続々と利上げしており、今後日本も利上げするのではないかと予想されています。そのため、金利が上昇してもゆとりある暮らしが維持できるよう余裕をもって住宅ローンを利用することをおすすめします。
まとめ
住宅ローンを利用する時には、気をつけるべきポイントがいくつかあります。ただ単に「住宅取得」を目指すのではなく「ゆとりのある生活」を目標に、まずは自身の経済状況を正確に把握し、返済能力を見極めることが重要です。金利や返済期間、返済方法などの詳細な条件を理解し、将来を見据えて利用するようにしましょう。
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