家を建てようと思ったときに、工務店に頼むかハウスメーカーに頼むか迷う人も多いでしょう。コストパフォーマンスや工期の長さなど、それぞれにメリット・デメリットや特徴があります。自分の理想の家を建てるためには、どちらが適しているのか検討したうえで選びましょう。本記事では、工務店とハウスメーカーのメリット・デメリットや違い、選ぶときの注意点についてご紹介します。
工務店のメリット・デメリット
工務店はハウスメーカーより小規模で地域密着型の会社が多いのが特徴です。地域密着型の業者以外にもフランチャイズの加盟店や中堅ビルダー的な工務店もあります。工務店に依頼するメリット・デメリットについて見ていきましょう。
メリット
・コスパがいい
工務店はハウスメーカーと違って広告宣伝費や運営の人件費、展示場・モデルハウス代などがそれほどかからないため、管理コストを抑えられ、原価に近い価格で住宅を提供しています。
・自由度が高い
用意されたプランから選んで組み合わせるハウスメーカーの設計方法と異なり、工務店であれば比較的自由に設計できます。ほかにないような唯一無二の家を建てたい、間取りにこだわりがある場合には工務店がおすすめです。
・親身な対応
地域密着型の業者が多い工務店は、地域の住人からの信頼度が何よりも重要です。そのため、何かトラブルなどがあった場合には、柔軟にスピーディーな対応をしてもらえることが多いです。自宅から近い工務店であれば、ちょっとした相談もしやすく安心です。
デメリット
・ばらつきがある
職人の経験や技術、担当者の知識によって仕上がりにばらつきが出やすいのがデメリットのひとつです。アフターメンテナンスの品質にもばらつきがあり、人手が少ないために充分なサービスを提供しない会社もあれば、しっかり対応してくれる会社もあります。
・見学できないことがある
ハウスメーカーと異なり、展示場やモデルハウスをもたない工務店がほとんどなので、最初に完成形を確認することが難しいです。また、建築棟数も多くないため、完成物件を見学できないまま施工が始まることもあるので注意しましょう。
・工期が長い
工務店は設計から資材の加工までほとんどすべての工程を自社で行うため、ハウスメーカーと比較すると工期が長くかかる傾向にあります。
ハウスメーカーのメリット・デメリット
ハウスメーカーには、次のようにいくつかのメリットとデメリットがあります。
メリット | デメリット |
---|---|
住宅性能の品質に優れている | 坪単価が高い傾向にある |
倒産するリスクが低い | 間取りを自由に設定しにくい |
アフターフォローが充実している | 伝達ミスが起きる可能性がある |
住宅の品質や性能面で優れているほか、大企業が多いため倒産リスクが低く、アフターフォローも充実していることが多いです。
さらに、提携している金融機関が多数あるため、住宅ローンの審査にも通りやすいというアドバンテージがあります。ハウスメーカーはこれらの強みを活かして、多くの施主から支持を集めているのです。
ハウスメーカーのメリット
ここでは、ハウスメーカーの4つのメリットについて詳しく解説します。
住宅性能の品質に優れている
ハウスメーカーの最大のメリットといっても過言ではないのが、住宅の品質と性能の高さです。多くのハウスメーカーは自社の住宅ブランドを確立するために、品質向上に力を注いでいます。
たとえば、耐震性や耐火性、断熱性などの基本性能を高めるだけでなく、空気質や温熱環境などの居住性能にもこだわっているところが多いです。これらの性能は専門の研究機関と連携して開発・検証されており、常に業界の最先端を行く水準を維持しています。
また、自社工場で部材を生産し、厳しい品質管理のもとで施工することで、品質のバラつきを抑えているのも特徴です。こうした取り組みの結果、ハウスメーカーの住宅は一般的な住宅に比べて性能面で優れているといえます。
倒産するリスクが低い
ハウスメーカーのメリットは、倒産リスクが低いことです。
ハウスメーカーは大手企業が多く、安定した経営基盤を持っています。仮に業績が悪化しても、すぐに倒産することはまれです。
万が一倒産した場合でも、国の支援を受けられる可能性が高いといわれています。理由は、住宅業界が国民生活に直結する重要な産業だからです。
一方で中小の工務店では、経営難に陥ると倒産のリスクが高まります。住宅の建築中や完成後に倒産されてしまうと、施主は大きな損害を被る可能性が高いです。
しかし、ハウスメーカーを選べば倒産のリスクを大幅に軽減できます。長期的な安心を得られることは、ハウスメーカーの大きな強みといえるでしょう。
アフターフォローが充実している
ハウスメーカーのメリットとして見逃せないのが、充実したアフターフォローです。多くのメーカーでは、独自の長期保証制度を用意しています。
この制度は住宅の品質や性能に問題が生じた場合、無償で補修や交換を行うというものです。なかには法律で定められた瑕疵担保責任の期間を、大幅に上回る保証を提供しているケースも少なくありません。
また、定期的な点検やメンテナンスのサービスも充実しています。経験豊富なスタッフが住宅の状態をチェックし、不具合の早期発見・早期対応に努めてくれます。
さらに住まいに関するさまざまな相談にも乗ってくれるので、アフターフォローの質の高さは、ハウスメーカーの大きな魅力といえるでしょう。
住宅ローン審査が通りやすい
ハウスメーカーで住宅を建てる際は、住宅ローンの審査に通りやすいというメリットもあります。
一般的に住宅ローンの審査基準は金融機関ごとに異なります。しかし、ハウスメーカーは多くの金融機関と提携しているため、幅広い選択肢の中から施主の状況に合った金融機関を紹介してくれる場合が多いです。
また、ハウスメーカーは信用力が高いこともあり、審査通過に有利に働きます。金融機関にとって大手ハウスメーカーとの取引は、安定したビジネスチャンスとなるからです。
さらに住宅ローンに精通したスタッフが、申請書類の作成や審査対策をサポートしてくれます。円滑に手続きを進められるのもメリットのひとつです。
住宅ローンの審査は家づくりにとって大きなハードルですが、ハウスメーカーを利用すればクリアしやすくなります。
ハウスメーカーのデメリット
ハウスメーカーのデメリットとしては、坪単価が高い傾向にあること、間取りを自由に設定しにくいこと、伝達ミスが起きる可能性があることが挙げられます。
続いて、ハウスメーカーの3つのデメリットについて解説します。
坪単価が高い傾向にある
ハウスメーカーを利用するデメリットは、坪単価の高さです。
各メーカーはテレビCMなどの広告宣伝に多額の費用をかけるほか、自社の研究開発や品質管理にもコストがかかります。これらの費用は住宅の価格に上乗せされるため、坪単価が高くなる傾向にあるのです。
ただし、坪単価の高さは品質の良さや充実したアフターサービスなどの付加価値を反映しているともいえます。したがって、価格だけでなく総合的な魅力を比較、検討することが大切です。
間取りを自由に設定しにくい
ハウスメーカーは自由な間取りの設定が難しいというデメリットもあります。
メーカーの多くは規格化された部材を大量に生産・使用することで、コストダウンと品質の安定化を図っています。その分、間取りのバリエーションは限定的にならざるを得ません。
間取りを自由に設定したい場合は、工務店と比較することをおすすめします。
伝達ミスが起きる可能性がある
ハウスメーカーは営業担当をはじめ、設計担当、工事担当など、複数の担当者が関わって家づくりが進められるのが一般的です。この過程で施主の要望が正確に伝わらない、いわゆる「伝達ミス」が起きる可能性があります。
たとえば、営業担当と設計担当の間で、施主の要望に対する認識にズレが生じ、思い通りの間取りにならないというケースは珍しくありません。
こうしたミスを防ぐには、施主自身が積極的にコミュニケーションを取ることが大切です。
工務店とハウスメーカーの違いは?
工務店とハウスメーカーにはどのような違いがあるのでしょうか。
コスト
同じ土地に同じ家を建てるなら、工務店の方が安く済みます。ハウスメーカーと違って運営費や人件費が高額でないため、建築に関係しない無駄な費用を省けます。
エリア
ハウスメーカーは全国各地に拠点があり、エリアが限定されません。一方で工務店は地域密着型が多いです。
精度
施工の精度が均一なのは大量生産、工業化をしているハウスメーカーです。工務店の場合、大工によって能力に違いがあるため施工の精度は一定といえません。
アフターメンテナンス
定期点検や無料修理サービスなどを提供するハウスメーカーと、困ったときにすぐに柔軟な対応をしてくれる工務店、それぞれの特色があります。
住宅会社を選ぶときに確認すべき点とは
自分に合う住宅会社を選ぶ
ひとことに住宅会社といっても、特徴・サービスはさまざまです。そのため、自分に合うかどうかを考えて選ばなければいけません。
家族構成やライフスタイルによって、一人ひとり住宅に求める条件は異なります。何を一番重視するのか、必要なもの・不要なものをしっかり考えてから選択することで、契約後の失敗が軽減できるでしょう。もちろん、家族でしっかり話し合うことも大切です。
信頼性・実績がある
ただ施工物件数が多いだけでは、よい会社とはいえません。「実績がある」という意味では魅力的ですが、ていねいな施工やお客さんの要望にきちんと対応してくれるなど、寄り添ったサービスも必要不可欠です。
相性といってしまうとそれまでですが、一方的にサービスを押しつけてくるような会社は避けましょう。
アフターサービスの有無
万が一に備えて、アフターサービスがあるところを選びましょう。引き渡し後のメンテナンスや定期点検はもちろんのこと、瑕疵担保責任の有無も確認しておくと安心です。
保証期間は長いほど安心ですが、途中から有料になるところが多いため、どれくらいの期間保証してくれるかも調べておくと失敗しません。瑕疵工事ではない場合の対応についても確認しておきましょう。
まとめ
自分がどのような家づくりを希望するかによって、工務店かハウスメーカーを探すことが大切です。こだわりが実現可能かどうか、ホームページなどで確認したうえで、実際に相談してみることをおすすめします。予算や工期、担当者との相性などを見極めつつ、特徴や長短を踏まえたうえで、どちらが自分に合っているか検討しましょう。
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