
住宅を購入する際は、老後のことまで考えて「バリアフリー住宅」を選択するのも一つの手でしょう。なぜなら、後からリフォームでバリアフリー仕様に変えるよりも、トータルコストが安くなりやすいからです。そこで今回は、バリアフリー住宅の概要や、快適な暮らしを送るための間取りのポイントをまとめて解説します。
バリアフリー住宅の概要
バリアフリー住宅とは、年齢や身体的条件に関係なく、小さな子どもから高齢者まで誰もが安心・安全で快適に生活できるよう配慮された住まいのことを指します。この住宅は、段差の解消や廊下への手すり設置など、日常生活での障壁となる要素を取り除く工夫が施されています。
また、生活動作を支援する設備が整えられているため、日常生活を無理なくスムーズに送ることが可能です。多くの人が、バリアフリー住宅を高齢者や障害者のためのものと考えがちです。しかし、実際には幅広い世代にとって役立つ設計がなされています。
たとえば「妊婦がつまずきにくくなる」「若い世代でもケガや病気による一時的な車いす生活の際に移動しやすい」といった利点があります。これにより、家族全員が快適に過ごせる環境を提供可能です。さらに、将来のライフステージの変化にも対応できる柔軟性を持ち、安心して長く住み続けられるという点も大きな魅力といえます。
バリアフリー住宅における間取りのポイント
バリアフリーな住まい選びでは、住む人の身体的特徴や将来のライフステージを考慮し、各部屋や設備に配慮を行うことが重要です。以下に、住宅の各部分ごとに気をつけたいポイントをまとめます。
浴室
浴室は滑りやすく転倒のリスクが高いため、バスタブや床には滑りにくい素材を使用し、手すりの設置や段差の解消が求められます。浴槽の高さは40cm以下にすることでまたぎやすく、入浴がスムーズになります。
また、冬季にはヒートショックを防ぐために浴室暖房を設置することも効果的です。温度差をなくす「温度のバリアフリー」は特に高齢者や体が弱い方の健康維持に役立ちます。さらに、車いすで直接入れるように浴室の間口を広げることも検討しましょう。
トイレ
トイレは高齢者や体が不自由な方が使いやすいよう、寝室の近くに配置し、広めのスペースを確保することが大切です。立位と座位の移動が楽になる洋式トイレや手すりの設置もおすすめです。
また、トイレが1か所しかない場合は、寝室から直接入れるように配置しましょう。さらに、洗面所や脱衣所からもアクセス可能な2ドア構造にすると利便性が向上します。
洗面台
洗面台の適切な高さは、健康な方が立って使う場合と車いす使用者が座って使う場合で異なります。そのため、将来を見据えて車いす対応の高さに設計することが良いでしょう。さらに、洗面台下部の収納スペースをなくすことで車いすでも近づきやすくなります。
さらに、そばにベンチやイスを設置することで、立つのが難しい方の負担を軽減できます。
リビング
家族が最も多くの時間を過ごすリビングは、段差をなくしてフラットな床にすることが転倒事故の防止に役立ちます。内閣府の調査によると、高齢者の自宅内での転倒事故はリビングが庭に次いで多いというデータがあります。
また、車いす使用者が快適に過ごせるようにテーブルの高さを約70cmに調整したり、調節可能なテーブルを選ぶといいでしょう。
キッチン
キッチンは長時間立ち作業が必要な場所であるため、高齢者や妊婦にとって負担が大きくなることがあります。適切なキッチンの高さや座ったまま調理ができるイスの用意など、使いやすさを向上させる配慮が重要です。
廊下
廊下は、車いすでの通行を考慮しましょう。幅は90cm以上、すれ違いや方向転換が可能な場合は150cm以上確保することが望まれます。将来手すりが必要になる可能性を見越して壁に下地を入れておけば、後付けが容易です。
また、車いす使用者がスイッチに手を届かせやすいよう低めに設置し、ワイドスイッチを採用するとより使いやすくなります。そして、床材には傷がつきにくい強度の高いものを使用することをおすすめします。
玄関
玄関は車いすでの出入りを想定し、幅を90cm以上確保しましょう。段差がある場合はスロープを設置することで、妊婦や子ども、高齢者にも配慮できます。スロープには一定のスペースが必要なため、家づくりの段階で計画しておくことが重要です。
また、靴を履いたり脱いだりするための十分なスペースも確保しましょう。
まとめ
バリアフリー住宅は、すべての世代が安心・快適に暮らせる住まいを目指した設計が特徴です。段差の解消や手すりの設置など、高齢者や障害者への配慮だけでなく、妊婦や子ども、若い世代がケガや病気の際にも安全に生活できる工夫が凝らされています。浴室の滑り防止やヒートショック対策、トイレや洗面台の使いやすさの確保、リビングや廊下のフラット設計など、細部にわたる配慮が快適な生活をサポートします。特に、将来のライフステージの変化に柔軟に対応できる点が魅力です。家づくりの初期段階からバリアフリーを取り入れることで、リフォームの手間を省き、長く安心して暮らせる住まいを実現できます。

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